円高・円安は大きな流れから判断する
相場をあまりに至近距離から毎日眺めていると、大局観が見えなくなってしまう、すなわち「木を見て森を見ず」の愚に陥ってしまいますので注意したいところです。
プロのトレーダーなどは「決算期」があることから、短期売買の連続から木だけを見るということもありますが、個人投資家には決算期などはないわけですから、じっくり森を見て臨みたいものです。
為替に関して言えば、新聞やテレビのニュースなどでは昨日と比べて円高であるとか円安であると表現されますが、FX(外国為替証拠金取引)で短期売買をメインにしている人などを除いては、大きな流れから円が高いのか安いのかを判断すればよいと思います。
ちなみに、英国の『フィナンシャル・タイムズ』紙が「ミセス・ワタナベ(主婦投資家の総称)が為替を動かす国」と報じたことなどは記憶に新しいところですが、これは、日本の主婦が赤ん坊をあやしながらパソコンのモニター画面を見て売買注文を入れるという現象を奇異の目を持って報じたわけです。
ヘッジファンドの動きは気にすべき?
日々の報道・ニュースなどでも金価格については、「昨晩ニューヨーク市場でヘッジファンドの買いにより急騰」などと派手に報じられることも多いことから、注目されがちです。
しかしながら、ヘッジファンドの取引というのは、所詮、2〜3か月後にはポジションを解消して、もし売買益が出ればそれを出資者に還元するという「ゼロサムゲーム」の宿命があります。
それに対して、インドや中国で個人が「金」を買うことは長期保有が前提ですから買ったら買いっぱなしです。
なので、地味ではありますが、こうした長期保有のポジションというのは、価格形成にはジワリと効いてきます。
つまり、仮にヘッジファンドが「金」100トンを売買したとしても最終的にはチャラになりますが、新興国の個人の小口の買いが積もり積もって100トンになったときには、長期的には間違いなく価格を押し上げる効果があるということになります。
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